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岩田 徹

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第85回 信頼関係

2022/07/29

連日繰り広げられる甲子園を目指す高校生の熱戦。
筋書きのないドラマが全国で展開されていて、日々の結果をチェックするのが楽しみです。
また今は地方大会の1回戦からライブ配信されているため、
母校の試合をインターネットで観戦できるというありがたい環境があります。

さてその中で印象に残った試合、チームはたくさんあるのですが、
「エンジョイイングベースボール」を掲げ、
環境によるハンデも物ともせず、快進撃を続けたチームがあります。
鹿児島県立大島高校。

奄美大島にある県立高校ですが、秋の九州大会で準優勝を果たし選抜出場。
夏の初出場を目指して鹿児島大会を戦いました。
試合ごとに奄美大島から片道12時間をかけてフェリーで移動。
島内には限られた高校しかないため、練習試合は少なく、実戦経験は紅白戦とOB戦のみ。
それでも島を挙げて応援していて、バッティングセンターの開放、
練習後、校外でのトレーニング場所や機器の提供も受け、
島の人たちの想いも乗せて鹿児島大会を戦っていました。
そして迎えた決勝戦。
0-3で迎えた最終回。最後まであきらめず戦い抜き1点差まで詰め寄りましたが、敗退。
大島高校の夢は後輩へと受け継がれていくことになりました。

甲子園出場は果たせませんでしたが、
鹿児島大会決勝までの堂々とした戦いぶり。
敗退の瀬戸際まで追い込まれたり、何度もピンチを背負う場面がありました。
その時、ベンチにいる塗木監督からマウンドに集まる選手たちに伝令が届きます。
その伝令の選手に塗木監督は自らの大きな帽子をかぶせ、
ブカブカの状態でマウンドまで走らせます。
伝令の選手は帽子を押さえながらマウンドまで走り、監督からの言葉を伝えます。
何を伝えたのかはわかりませんが、
マウンドに集まる選手たちの表情が一気に和らぎ、
気持ちが落ち着きピンチを脱しているシーンがありました。

勝負は時の運、流れもある。結果は仕方ない。
そこまでの過程が大事なのだ、と決勝戦の後、塗木監督は選手に伝えていました。
大島高校の見事な戦いぶり。
本音を言えば甲子園で見たかったですが、監督、選手、そして島の人たちの一体感には、
感動を覚えました。

〜中小企業の採用・育成のヒント〜

選手個々の特徴を把握し、いつ、どのタイミングで何を伝えれば良いのか。
普段からコミュニケーションをとり、信頼関係ができているからこそ発揮できる力。
高校野球の監督と選手の関係性は、経営における経営者と社員の関係、
管理職とチームメンバーの関係と同じだと思います。

緊迫した場面、チームが崩壊寸前の場面で何ができるでしょうか。
ピンチになった時に対応しようとしても時すでに遅し、です。
常日頃から信頼関係を構築しているからこそ、いざという場面で力を発揮するのだと思います。