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益田 和久

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第63回 手書き

2022/05/19

先日の日経新聞に、塾の先生(数学)がタブレットに関する記事を投稿していました。
最近タブレットでノートをとる生徒が増えていたのこと。2割くらいがタブレット派だそうです。
実際にノートアプリは日々進化していて、図形や表の作成、コピペや切り貼り編集も簡単にできます。
ノートを何冊も持つ必要もありませんし、大変便利だなぁと思います。
私も仕事とプライベートで2つのノートアプリを使い分けています。

記事の中では、二人の生徒さんのノートのとりかたを比較して、その成果について言及しています。
一人は板書(インプット)と練習問題(アウトプット)の両方をタブレットで書く人。
もう一人は、板書はタブレット、練習問題は紙で使い分けて書く人。

前者は、本人が学習効率があがったと感じているものの、紙で提出する宿題では、レイアウトが整理されていなかった、図の作成も間違いが多いらしいのです。
本人がいうには「ノートアプリに慣れていて、紙だと作成や編集うまくいかない」そうです。

他方、使い分けている人は、目的によって使い分けていることもあり、数学力も高いようです。
現状において“試験”といわれるものはは紙に書くことが多いですし、図形を書くときにも定規やコンパスが禁止されているケースも多いようで、フリースペースにフリーハンドで「書く、描く」力が重要になっているようです。

このコラムで、幾度か書いてきたように、私は技術の進化は積極的に採り入れていくべきだし、学校教育であるならばそうすべきだと思います。
ただ考えなければいけないのは、何でも道具を使うというわけではなくどのようにして道具を活用するか、また道具を活用することによって、どれだけ本人の能力を最大限化できるのか、また対応できる問題の幅を広げられていくのかということかと思います。

そこでふと感じたのが、漢字が書けなくなっていること。さらにいうと、手書きで上手に字が書けなくなっていることです。
理由は簡単。字を書かなくなっているからですね。

デジタル化が進むほど、ますます書く機会は減るでしょうし、もっと退化していくと思います。
私は研修講師という仕事柄、板書する機会もあり、漢字が思い出せない寒い体験を何度もしてます。
ですから、書きそうな漢字は事前に練習をしていますが、参加者の意見を書き取っていくときにはそうはいきません(苦笑)

また、お客様に御礼のお葉書をお送りするときがあるのですが、末尾に手書きの文面を一言添えるときに、上手に書けず落ち込むときもあります。
年賀状などで同じような想いをされている方も多いかと思います。

人によって、手書きの必要性というのは異なりますが、手書きという一つの脳を刺激する手法は捨てがたいと思っています。
試験も、目で見て、音読して、それを耳で聞いて、手書きすることで手が覚えてといった行為が、現在の自分のスキルの一部を築いていることは間違いないですし、道具の有無は別として、そこはキープしていきたいと改めて思いました。

学生と違い社会人の場合は、手書きをせずに全てが完結できる方向に向かっているような気もするので、意識して使い分けていく必要があるかと思います。
まずは、タブレットのアプリを使って、漢字を勉強して、漢検の受験でもやってみようかと感じた今日この頃です。