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木村 圭

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第17回 あなたの想いを色鮮やかに表現する方法

2022/05/16

スピーチは、意見や主張といった自分の想いを表現する行為です。想いというのは、人それぞれの価値観ですから、たとえあなたが「私はこう思う!」と言ったところで、100人中100人が「私もそう思う!」とあなたの気持ちを理解してくれるわけではありません。

しかし、伝え方を少し変えるだけで、100人中90人くらいならあなたの想いを理解してもらうことは可能です。そこでこの記事では、自分の想いを聞き手にわかってもらうための表現方法をお伝えします。

必要なのは具体性

これから2つの文章を読み比べていただきます。伝えたいことは同じですが、感じ方、受け取り方がまるで違うと思うので、何が違うか考えながら読んでみてください。

①私には納得いかないことがあります。それは、納豆についてくるタレ。あれは本当に開けづらいと思いませんか? 指はもちろん、ハサミで切るにしても上手くいった試しがありません。朝の急いでいる時間だと、余計ストレスです。だったらいっそのことタレなんてつけない方がいい。そう思います。

②私には納得いかないことがあります。それは、納豆についてくるタレ。あれは本当に開けづらいと思いませんか? 切り口がついているので、指で開けようとすると、必ずタレが指に付きます。今すぐ指を拭きたいけど、すぐに納豆に注がないと、どんどん漏れてきてしまう。あーだこーだしているうちに、結局指はタレだらけです。これはハサミでも同じで、ハサミにもタレは付く。これまで何度もトライしましたが、上手くいった試しがありません。タレと格闘するだけで10秒はロスする。朝の急いでいる時間だと、余計ストレスです。だったらいっそのことタレなんてつけない方がいい。そう思います。

①の文章だけだと「納得いかないことはわかったけど、そこまでの話?」という印象だったのではないでしょうか。一方で、②の文章は、なぜ納得いかないのか、少なくとも話し手の苛立ちは伝わったのではないでしょうか。

ふたつの文章で違うところは具体性です。①は「開けづらい」という話だけで、具体的にどう開けづらいのか、どんな不便があったのかがわかりづらい。②は、「指で開けるとタレが付く」といった具体的な情景を交えて説明し、さらに何がストレスになっているのか「10秒」という具体的な数字を使って説明しています。

スピーチで自分の想いをわかってもらうためには、具体的に話さなければなりません。具体性がない抽象的な話だと、その人がなぜその想いに至ったのか、ぼんやりしてしまいます。

具体的に話すためにやること

では、どのように具体的に話せばいいのでしょうか。それは、自分の頭の中にある映像を、そっくりそのまま聞き手の頭の中に描くことを意識するということです。

例えば、あなたが「私はステーキが食べたい」と話す時、聞き手の頭の中には、あなたが思い描いたステーキが描かれているでしょうか。ステーキといえば牛肉が一般的ですが、豚肉も鶏肉も、場合によってはマグロステーキもあります。「ステーキ」という言葉だけでは聞き手によって、頭の中に描かれる映像が違います。

そこで、「私は牛肉のステーキが食べたい」と伝えるとしましょう。これなら完璧でしょうか? おそらく、牛肉のステーキにもサーロインがあったりフィレがあったり、サイコロステーキなんていうのもあったりしますから、これでも十分には伝わるとは言えません。

「私はステーキが食べたい。牛肉のサーロイン、厚さは2cmくらいあったら最高。焼き加減はミディアムで、鉄板に乗った熱々の状態で出してもらって、しょうゆ味のガーリックソースをかけてジュワ~と音がするのを食べたい」

これくらいの解像度で話されたら、容易に頭の中でその映像を思い描くことができるのではないでしょうか。

具体的に話すためには、まず自分の頭の中にある映像を明確にする必要があります。そして、明確にしたその映像を、目や鼻、耳、触り心地といった五感を使って言語化してみます。そして、言語化したものを再度映像化した時、自分の頭の中にある映像と同じであれば、それはそっくりそのまま相手の頭の中にも描かれる可能性が高いです。

そのため、「これくらい話せば十分だろう」などと考えず、聞き手の頭の中に映像を描くことを意識して、話すようにしてみてください。

まとめ

スピーチは、自分の想いを表現する行為です。しかし、一方的に「こう思う!」「こうすべき!」というだけでは、相手はあなたがなぜその想いに至ったのか理解してくれません。

価値観は人それぞれ違いますが、丁寧に、具体的に話をすることで「なるほど。私は違うけど、あなたはそういう風に感じ、そう結論付けたんですね」と理解、共感してもらえるようになります。

スピーチなどで、いまいち自分の想いが伝わらないという方は、ぜひ具体的に話すということを試してみてください。具体的に話すことで、あなたの想いが、色鮮やかに聞き手に伝わるようになりますよ。