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木村 圭

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第16回 スピーチ力を上達させる練習のコツ

2022/05/02

スピーチをするにあたって、原稿を作成して、その原稿を丸暗記して、練習をしてからスピーチに臨む方が多いと思います。

しかし、実はこうした練習法はあまりおすすめできません。というのも、原稿を丸暗記してしまうと、どうしても“読み上げている感”が出てしまい、不自然なスピーチになってしまうからです。

そこでこの記事では、自然とあなたらしさが出せて、なおかつスピーチ力まで上がる練習のコツをお伝えします。

丸暗記の弊害と丸暗記でもいい人

スピーチ原稿を丸暗記して練習すると不自然なスピーチになります。そのため「あまり心がこまっていないな」「内容はいいけど棒読みが気になる」と聞き手に思われてしまうことがあります。

また、丸暗記すると一言一句間違わないようにと過度に自分にプレッシャーをかけることになります。スピーチ原稿には「私は」と書いたのに、実際は「私が」と言ってしまった。そのせいで頭が真っ白になってしまったという話はよく聞きます。

丸暗記というのは、脳にスピーチ原稿を記憶させる行為です。スピーチする時は、脳に記憶させた原稿を読み上げるだけなので、自然な話し方にはなりません。練習の目的も『覚えたことを間違わずに話せるようになること』なので、自然な話し方を意識することすらない。そのため、どうしても不自然なスピーチになってしまいます。

一方でスピーチを丸暗記してもいい人がいます。それは、『お芝居の経験がある人』です。演劇などお芝居の経験がある人は、丸暗記した台本にどうやって魂を吹き込むかがわかっています。プロの役者は「はい」という相槌ひとつを何十もの感情で表現できます。なので、たとえ丸暗記でも自然なスピーチを行うことができるのです。

もしあなたが役者をやったことがある、お芝居の経験がある、演技力には自信があるということであれば、丸暗記でスピーチしてもいいでしょう。しかし、多くの方はお芝居の経験がないので、丸暗記ではない別の方法で練習する必要があるのです。

スピーチ原稿は書くべきか?

『丸暗記はNG』という話をすると「では、スピーチ原稿も書かない方がいいのでは?」と言う方がいます。結論からいうとスピーチ原稿は必ず書くようにしてください。一見矛盾しているように思えますが、そうではありません。

スピーチ原稿を書く目的が丸暗記をするためということであれば確かに書かない方がいいです。しかし、スピーチ原稿を書く目的が『ストーリーを暗記する』ためであれば、スピーチ原稿は書く必要があります。

スピーチ原稿を丸暗記することとストーリーで暗記することの何が違うのか? 実はこれが、スピーチ力を上達させる練習のコツなのです。

丸暗記ではなくストーリーで暗記する

丸暗記というのは、文字通りスピーチ原稿をそのまま『文字情報』として頭に記憶させることです。例えば、下記のスピーチ原稿であれば、この文章をそっくりそのまま覚えることです。

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人生において、やるかやらないかで悩んだことはありませんか?

やったら上手くいくかもしれない。でも上手くいかなかったらどうしよう。そう悩んであと一歩が踏み出せなかった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

私は、そんな時「まずはやってみる」ことにしています。なぜなら、行動を起こせば、必ずプラスの結果が得られるからです。

例えば、大好きな人に告白しようか悩んでいたとします。告白をしなければ、今の関係は変わらない。プラスにもマイナスにもならないゼロの状態です。しかし、告白をすれば「成功」か「失敗」どちらかの結果が得られます。

成功すればラッキー。大きなプラスです。失敗すればその時はマイナスかもしれません。でもなぜ失敗したのかを考え、自分を磨くためのきっかけにはなります。つまり長い目でみたら次の成功を得るためのプラスの要因になるわけです。

悩むくらいならまずはやってみる。行動を起こせば、必ずプラスの結果が得られる。私は、そう信じています。
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文字数でいうと、417文字分も暗記しなければなりません。これがストーリーで暗記するとどうなるか。次のようになります。
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①やるかやらないかで悩む人が多い

②まずはやる。なぜなら、やればプラスだから

③告白もしなければゼロ。告白すれば二択。失敗も長期的にはプラス

④だからまずはやる
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ストーリーで暗記するというのは、スピーチの流れを『言いたいこと単位』で暗記することです。

言いたいこと単位で暗記すれば多くの文字を覚える必要はありません。上記の場合だと、たったの75文字分を覚えればOKです。

スピーチ原稿を作成したら、この言いたいこと単位を暗記し、暗記した流れに沿って、フリートークをする感覚でスピーチ練習を行います。

「(最初は『やるかやらないかで悩む人が多い』という話だったな)やるかやらないかで悩む人って多いですよね。私も以前までは、やるかやらないかで悩むことが本当に多くありました。(次は、『まずはやる。なぜなら、やればプラスだから』という話だな)しかし、今の私は違います。私はやるかやらないかで悩んだ時、まずはやってみることにしています。それはなぜか。やれば必ずプラスになるからです。(次は、『告白』の話か)例えば、好きな人ができて……」

最初に書いた原稿と文章そのものは違いますが、言いたいことは同じですよね。言い方が違うだけで、伝えたいことはしっかりと伝わるはずです。

また、スピーチ原稿をストーリーで暗記することで、自然なスピーチとなり、気持ちが入りやすくなります。覚える文章量も少ないので、本番で原稿を忘れてしまうリスクも軽減できるでしょう。

まとめ

スピーチというと、多くの方が「原稿をちゃんと覚えなきゃ」「本番で忘れてしまったらどうしよう」という不安を抱えがちです。しかし、今回紹介した練習法であれば、そうしたプレッシャーから解放され、あなたらしい自然なスピーチができるようになります

また、フリートーク感覚で行うので即興スピーチの練習にもなります。むろん、スピーチ力が上達するのは言うまでもありません。

スピーチが苦手、どうやって練習したらいいかわからないという方は、ぜひ今回紹介した方法を参考に、スピーチ練習をしてみてくださいね。