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塩崎 俊樹

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【第69回講座】(緊急)変わる経営環境に備える

2022/04/07

値上がりは続く

まん延防止措置がようやく明けてから2週間が経過しました。

飲食店ではお客様の戻りが大体7割くらいまでのお店が多いことを聴いています。
お客様が戻るまでまだしばらく続きそうな状況の今、もう2つ飲食店を悩ませていることがあります。
1つは食材の高騰、もう1つは時給の高騰です。この2つの悩みについて、私自身が感じていることと、この状況を乗り越えていく為に、今から備えておくべき考え方を中心にお話していきます。

食材価格高騰はいずれにしても避けられなかった

今はコロナの影響に加えて、ウクライナ情勢による海外からの食材調達が厳しい状況が続いています。
食材の大半を輸入に頼っている日本では、その影響は今後も非常に高いと感じています。
先日訪れた福島県いわき市にある海鮮料理店では、うにの価格が倍近くまで値上がりしていました。
普段お客様に定食で提供していたかに汁も貝汁に変更している等、その影響は確実に飲食店にも出ていると感じました。

こういった状況は、全国の飲食店でどんどん起こってくるでしょう。
そしてこの状況は、いずれにしても近い将来起こっていくことであると観ていました。
ただその時期が早まっただけであると・・・

つまり、食材を輸入に頼っている限りは、このような食材価格の高騰は避けられない事態に陥っていくのです。
その一番のキーワードは“内外価格差”の存在です。

日本は安い国

この言葉は今アジアを含めた海外から見た日本のキーワードの一つです。
コロナ前日本にインバウンドが押し寄せました。
過去最高の3000万人以上の外国人が旅行などで日本を訪れました。
日本はスゴイ!日本は魅力的だから!もちろん、日本は魅力が沢山あります。

しかし、日本を訪れた理由の大きな部分に「日本が安いから」があったのです。
海外から見ると日本は安く行ける国になっているのです。
30年前日本は世界で一番高い国でした。
しかし、そこが頂点でした。
その後30年間日本は物価がほぼ上がっていません。
併せて賃金も30年間ほぼ変わっていません。
30年間物価や賃金が上がらなかった国は世界中どこを見ても日本以外ないそうです。
先進国の中ではなおさらです。

あの頃から30年経った今、日本は海外にどんどん抜かれています。
昨年はお隣の韓国にも平均賃金が抜かれました。
20年前日本の物価の7割であった香港は、今日本の物価の1.5倍近くになっています。
一風堂さんのラーメンが一杯2000円!でも行列ができる!それが普通になっています。

さらに近年起こっていることは、日本が安い為、出稼ぎの対象国から外れてきていることです。
日本は稼げない。
そのことが理由でアジアを中心とした海外人材の採用も今後益々厳しくなっていきます。

30年前は海外からの食材調達が安かったから海外産の輸入を進めてきました。
しかし、今は海外産の方がこの内外価格差によって高まってきていたのです。
それが今回のウクライナ情勢やコロナによって、早まったのです。

目指すは賃金アップと価格アップ

この2つのことを目指すことも今後避けられなくなっていきます。
輸入や海外人材に頼るならなおさらです。
今までは安く、安く、価格を上げることは悪いこと。
そんな認識が一般的になっていました。
しかし、世界の中の日本で見ると、この視点は間違いであると僕自身も4年前香港を訪れて気づきました。

日本の物価が上がり、賃金が上がる体制を作れることが今後日本の飲食店が更に発展していく上で避けられないことの一つであるのです。
そして、この取り組みをできるようになるためにも、経営やお金のことについて体系的に学ぶことが求められているのです。

今備えるべきことは、まず学ぶことです。
コロナによって激変した飲食店の市場。その中で再起する上でももう一度原点に戻って学び直し、経営を変えていくことが今大切であると捉えています。

☆今日の質問☆
今の食材高騰や時給アップをどのように受け止めていますか?

参考:
元ワタミ代表桑原豊社長が話す牛タンが食べられなくなる!
https://youtu.be/BU0mDpmdxgU