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岩田 慎太郎

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第10回 市場価値を読む力は、競りゲームによって鍛えられる!

2022/02/07

ドイツゲームの定番とも言えるジャンルの1つに、「競りゲーム」があります。
各プレイヤーは、最初の手持ち資金をもとに、対象となる商品を落札していきます。
その競りの仕方も多種多様で、一斉に値段を釣り上げていくオークション形式だったり、スタートプレイヤーから順番に値段をつけていく形式だったり、全員が秘密裏に同時に値段を指定し、最も金額が多いプレイヤーが落札するという形式だったりと、現実の世界での競りの形式そのものがゲームで味わえます。

その様々な競りゲームを同時に味わえるのが、『モダンアート』というゲームです。
ルール動画:https://www.youtube.com/watch?v=AzpDwA3yLpc

このゲームは1993年のドイツゲーム賞を受賞している超有名ゲームです。
ドイツゲーム賞は過去に紹介したドイツ年間ゲーム大賞と名前が似ているのですが、ゲーム賞がゲーマー向け、年間ゲーム大賞は大衆向けという位置付けで、日本の文学賞で言う、直木賞=ゲーム賞、芥川賞=年間ゲーム大賞と思って頂ければと思います。(名前が似すぎていて何とかならないものかと誰もが思っている事でしょう。)

さて、この『モダンアート』では、絵画をオークションに出品し競りによる落札をしていきます。
最終的に最もお金を稼いだプレイヤーの勝利なのですが、その市場価値の見定めというのがゲームの鍵となります。
ゲームは4ラウンドに渡って行われ、ゲーム中には5種類の絵画が登場します。

毎ラウンド、最も多く出品された絵画には3万$の価値がつき、次いで2万$、1万$と5種類のうち3種類の絵画に値がつけられます。
そのラウンドで該当の絵画を落札していたプレイヤーは1枚につき、その値段で売却します。

「安く買って、高く売る」というのは商売の基本ですが、このゲームではまさにその為に必要な市場価値を予想し読み解く力が試されます。
また、毎ターン親となるプレイヤーは自分の手番で、絵画の出品を行います。
ここでは「高く買い取ってもらう」という事も考えてプレイしなければなりません。

そうです。
モダンアートは、買い手と売り手の両方が味わえる競りゲームなのです。

しかもこのゲームはそれだけではありません。
1ラウンド目に値段がつけられた価格は、2ラウンド目にも継続します。
1ラウンド目に3万$の値がつき、2ラウンド目にも3万$の値がつけば、その絵画は6万$の価値となるのです。

「この絵画、もしかしたら6万$の価値になるかもしれないですよ!」と言いながら出品し、ラウンドを終えてみると実は価値がなかった・・・。
みたいな事も起こり得ます。

この市場の読み合いが楽しく学べるゲームです。

市場を読む力や適切なマーケティングがボードゲームを通し楽しく学べる競りゲーム。
皆様も是非プレイしてみて下さいませ。