影響力を与える伝え方をするために、説得力が大事だということは言うまでもないでしょう。
しかし、説得に必要な要素は何かと聞かれても、すぐには答えられないのではないでしょうか?
実は説得に必要な要素は2000年以上前から変わっていません。
そこで今回は、説得に必要な3つの要素について解説します。
説得のカギは古代ギリシアにあり
人を説得するための要素は、古代ギリシアの哲学者、アリストテレスが弁論術という著書で説明しています。
弁論術では三種の説得手段として、
・エートス(ethos)
・パトス(pathos)
・ロゴス(logos)
を紹介しています。
エートスは信頼、パトスは感情、そしてロゴスは論理です。
エートス(ethos)
説得力を持たせるために、まずはエートス、つまり信頼が必要です。
例えば、10人中10人が1億円の売上アップに成功した方法があったとしましょう。
100%の確率で成功するなんて夢のようですが、これまでの成功者のデータも全部揃っていて、誰がやっても同じ結果になる高い再現性です。
そして、今ならこんな夢のような方法が100万円で手に入ります。
ここまで言われたら「ちょっとやってみたいな」と思うのではないでしょうか。
しかし、その方法を勧めてきた人が詐欺罪で捕まったムショ上がりの人だったらどうでしょうか?
多分、「何か危ないことをさせられるかもしれない」「やはり嘘なのではないか?」と疑ってしまいますよね。
このようにたとえ本当の話だったとしても話者の信頼がなければ人は説得されることはありません。
よって、説得には必ずエートス、つまり信頼が必要なのです。
パトス(pathos)
では、先ほどの1億円売上アップの話を、あなたが1番信頼できる人物に勧められたらどうでしょう?
おそらく元詐欺師に勧められるよりは説得力がありますよね。
中には「この人が言うなら間違いない」とすぐに100万円払ってしまう人もいるかもしれません。
ところが、その信頼できる人物が次のような言い方で勧めてきたらいかがでしょうか?
「この方法は10人中10人が1億円の売上アップに成功した方法です。しかし、あなたも同じようにできるはわかりません。もし上手く行かなかったとしても、私を恨まないでくださいね」
こんなことを言われたらきっと気持ちも冷めてしまい、「それならいいです」となるのではないでしょうか。
このように、たとえ相手が信頼に足る人物であったとしても、そこに感情を動かすような言葉がなければ説得されることはありません。
よって、説得にはパトス、つまり感情も必要なのです。
ロゴス(logos)
では、あなたが1番信頼している人物が次のように勧めてきたらどうでしょうか?
「この方法は10人中10人が1億円の売上アップに成功した方法です。次はあなたがその成功者になる番です。よく考えてみてください。今より1億円売上がアップした未来を。そこに苦しい顔で帳簿とにらめっこするあなたはいますか? そこに設備投資を諦めているあなたはいますか? おそらくいないはずです。なぜなら、あなたは毎年、確実に今より1億円多く稼げるからです。そんな経済的自由を、素晴らしい未来を、たった一度きり、たった100万円で手にすることができるのです」
1番信頼している人物からこんな感情をくすぐるような言い方をされたら、思わず100万円払ってしまいそうですよね。
ところが、具体的にどのような方法で売上アップするのか尋ねたところ、こんな言い方をされたらどうでしょうか?
「まあまあ、それはいいじゃないですか。みんな成功してるんですから。100%の確率ですよ? ねっ。だから早く100万払ってくださいよ」
どんな方法かきちんと説明してくれなければ、たとえ信頼に足る人物が、たとえ感情的に訴えかけてきたとしても説得されることはありません。
よって、説得にはロゴス、つまり論理が必要なのです。
まとめ
今回は人を説得するために必要な3つの要素を紹介しました。
あなたが過去、他人の説得により何かを買ったり契約したりした時もきっとエートス、パトス、ロゴスの要素があったはすです。
2000年以上前の方法ではありますが、人の本質は簡単に変わるものではありません。
もしあなたが誰かを説得したいと思うなら、ぜひこの3つの要素を取り入れて話してみてくださいね。