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高松 秀樹

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第295回:200万円の夏と、会社が消える夏

2026/08/07

2026年8月6日、経団連が発表した大手企業の夏季賞与は、平均104万2,537円。前年比7.04%増で、比較可能な1981年以降の最高額となりました。なかでも大手3社を集計した建設業は202万6,633円。華やかな数字です。

ところが翌7日、帝国データバンクは別の景色を伝えました。1~7月の「従業員退職型」倒産は83件と、前年同期比12.2%増。建設業は20件に達し、職人や営業担当者の相次ぐ退職で事業継続が難しくなる例が目立ちます。

二つの調査が直接の因果関係を示すわけではありません。それでも、同じ「建設業」で、一方には200万円を超える賞与があり、もう一方には人が去って会社が消える現実がある。この落差は見過ごせません。実際、夏の賞与が増える企業は大企業で44.4%、小規模企業では31.4%でした。

もちろん、大手が好業績を社員へ還元することは喜ばしいことです。問うべきは、その原資を生んだ仕事の価値が、取引網の先まで届いているかでしょう。資材費や労務費を価格転嫁できなければ、賃上げの原資は生まれません。熟練者が去り、受注をこなせず、さらに利益が細る。退職倒産は「人手不足」の結果であると同時に、分配設計の限界を知らせる警報でもあります。

人材を資本と呼ぶなら、視野に入れるべきは自社の社員だけではありません。現場を支える協力会社の人々も含まれるはずです。発注価格は単なるコストではなく、技能と担い手を次代へつなぐ投資です。200万円という頂点の明るさだけで景気を測らず、その光がどこまで届いたかを見る。大手とともに歩むとは、分配の責任まで引き受けることなのかもしれません。

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