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第3回 なんで手を挙げるの?

2020/12/31

そもそもの目的を考える

 先日ある教育関係の方から「子どもたちに意見を求めても誰も手を挙げてくれないのですが、どうしたらいいですか?」と質問されました。僕は思わず「どうして挙手しなければならないんですか?」と聞き返しました。子どものみならず、大人に問いかけるときでも、ついつい“一人ずつ順番に”という暗黙のルールを設定してしまいがちです。でも、これは何のためでしょうか?

 僕は、参加者に問いを投げる目的は大きく3つあると考えています。1つ目は、彼らが今どのようなことを考えているかを確認するため。2つ目は、参加者が互いの考えを聞いて、自分の考えを深めるため。3つ目は、講師が一方的に話すのではなく、参加者自身が学びをつくる時間をとるため。これらに適う最適な方法は挙手でしょうか?

理想像をイメージして手段を選ぶ

 30人の参加者とプログラムをやっているとして、一人ずつ手を挙げて発言していったらとてつもなく時間がかかってしまいます。そして、その間他の人は聞いているだけです。せっかく意見や感想を聞くのであれば、できるだけ多くの人の声を聴きたいですよね。

 例えば、近くの人2〜3人でこちらの投げたお題についてペチャクチャしてもらう方法。参加者の間を歩きながら話に耳を傾けることでたくさんの考えが聞けます。話すことが苦手そうな子が多かったり、じっくり言葉を紡いでほしいときは、A5サイズの白紙を全員に渡して書いてもらう手もあります。それを張り出して全体で共有すれば、口頭で説明しなくても多くの考えに触れることができます。それだけでなく、周りがみんな活動している状況なので、そっと気になる子のサポートにも入りやすくなります。

 ついやってしまいがちなベタなアプローチも、何を目的にしているのか、そしてどういう状態を目指すのかを改めて考えると、もっと適切な方法が見えてくるかもしれませんよ。