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深山 敏郎

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第169回 困ったときの老荘だのみ エピソード69

2024/09/10

毎回老子の言葉をひとつずつご紹介しています。
コラムの168回目では、「われに三宝あり」を検討してきました。
老子は言います。「人をいつくしむ心をもつ」、「物事を控えめにする態度で臨む」、そして「人の先に立たない」ことが三宝であると。

今回は「不争の徳」です。

「不争の徳」とは何か

今回は老子の言葉「不争の徳」について考えてみましょう。

老子は言います「立派な武士が強がらず、戦上手は誘いに乗らない。
勝つことの名人は、やたらとけんか腰にならない。
人使いの巧者は、人の下に立つ。これが『不争の徳』であり、これは人の能力を最大限に活かし、天道の極意でもある」と。

改めて争わない人とは

私たち小人は、ついつい虚勢をはって「強がり」、「相手の挑発に乗り」、「すぐにけんか腰になり」、そして人の上に立とうとして他人を蹴落とすことに、やっきになります。
ところが結果はどうでしょうか。

会社経営では、こうなると社長は裸の大様になり、他のメンバーが考えていることに耳を貸そうとしません。
結果、自らの主張を通し、結果はうまくいくときもあれば、うまくいかない時もあります。
また、ライバル企業が自社に脅威を与えたとみるとすぐさま反撃に出て墓穴を掘ってしまいます。

「争わない人」が真の勝者である、と老子は言いたいのでしょう。
老子ではなく、孫子も「最上の戦上手は戦をしない」という意味のことを言っています。
これと通ずるところがあるようです。
老子の方がやや時代が早いため、孫子は老子の影響を受けたのかもしれません。

私たち小人は、とかく他者から出る異論を排除しようとします。
しかし、真に争わない人は、良い結果を得るのです。
そうした「異論を排除しない」とは何と難しいことでしょうか。
また、「自分は常に他者の下に位置するようにする」、なかなか実践が出来ずに困り果ててしまうのが常ですね。

本コラムが私たちの日々の悩みを和らげ、深く自省するきっかけになれば幸いです。

「老子」に関しては、徳間書店「中国の思想」第6巻 「老子・列子」を参考にさせていただきました。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

(筆者:深山 敏郎)
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