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益田 和久

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第175回 ネットの力

2024/07/11

七夕に投開票された東京都知事選。
私も都民の一人として清き一票を投じてきました。
結果は、開票率0%で現職の小池さんに当確が出ました。
これまで都知事選は現職が負けたことがないですし、報道でも小池さん優勢は大方の予想でしたので、さほど驚きもせず、小池都政3期目が確定しました。

今回の都知事選は、立候補者数も過去最高の56人を記録し、ポスターの掲示板の枠が足りなくなると言う珍現象も起きました。
またその掲示板でも、某国政政党の問題定期的な行動で一悶着があり、公職選挙法の見直しが議論され、本質とは違う側面からも注目される選挙となりました。

そして何といっても今回の都知事選で最も話題になったのは、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏が2位と躍進したことではないかと思います。
東京では、政界ではそれほど著名でもない石丸さんが、160万票以上を獲得することも、また蓮舫さんをおさえて2位になることも、予想していた人はほとんどいなかったのではないでしょうか。
それくらい衝撃的な出来事だったという印象です。

石丸さんの最大の武器は「ネット戦略」メディアもかなり取り上げていました。
石丸さんが安芸高田市長時代に、議会との対立映像をSNSにアップしていたののはよく視聴していましたので、今回どんなことをするのか興味深く注目しておりました。

今回、石丸さんのネット戦略のポイントとしては、公式YouTubeチャンネルに頻繁に動画をアップして、若者層に訴求しました。
実際10〜20代の得票数はかなり高かったようです。
チャンネル登録者30万人を超えていますが、これは30万人の宣伝部隊がいるのと同じ。
地上波テレビよりもYouTubeやTikTok中心の若者には十分な訴求ができたと思います。
このSNS訴求により、5000人以上のボランティア動員にもつながっています。
加えて、選挙カーの工夫もされていて、 選挙カーには「SNS投稿OK」「撮影・拡散OK」のステッカーが貼ってありました。
遊説スタッフも現地で「どんどん拡散してください」と呼びかけています。
これらの戦略は、若者や無党派層への訴求に大きな効果があり、政治不信や既成政党へのアレルギーなども相まって、石丸さんの大躍進につながったのだと思います。
今後の選挙戦略に一席を投じたことが間違いありません。

また今回得票数5位になったAIエンジニア会社経営でSF作家の安野貴博さんも、新時代に向けてのデジタル戦略を展開していました。
安野さんは自身の政策をAIが学習し、YouTubeや電話で質疑応答できるシステム「AIあんの」を活用。
選挙期間中に本人に見立てたアバターが、都知事選に関連する自身の考えを24時間回答できるライブ配信していました。
これも今後の選挙戦略としては、新しいスタイルとして展開されていくのではないでしょうか。
政党首脳もかなり高い評価をしていました。
石丸さんが言っていましたが、「メディアも政治もアップデートが必要」
今回は既存地上波メディアや政治と距離の遠いネット世代の方々が、自分たちのスタイルにフィットしやすい候補に覚醒されて、一つのムーブメントになったと認識しています。
政治に関心を持ってもらうには、デジタル戦略が一つのカギになるのではないかと感じた今日この頃です。