HACHIDORI NO HANE(ハチドリのはね)HPトップ

岩田 徹

ホーム > 岩田 徹 > 記事一覧 > 第157回 プラスの声がけ

第157回 プラスの声がけ

2023/12/15

阪神タイガースの38年ぶりの日本一で幕を閉じた今年のプロ野球。
来年の契約更改、トレードやFAなど、シーズンオフも話題が尽きません。
今年良い成績だった選手は大幅に年収をアップし、成績が芳しくなく、出場機会も限られた選手には厳しい査定が待っています。
中には来年の契約更新がなく、自由契約となる選手もいます。
職を失い、次なる活躍の場所を求めて転職活動している選手も多くいます。
華やかな世界ではありますが、一方でシビアで厳しい世界でもあります。
そんな中、各チームはすでに来年に向けて進んでいます。
キャンプを行い、気候が少し暖かい海外などでリーグに参加し、若手が実戦経験を積んだりもしています。

来年新たに読売巨人軍を率いる阿部慎之助監督。
巨人で長らく活躍し、引退後も2軍監督や1軍でのヘッドコーチなどを経て、
44歳にして満を持して監督に就任されました。
長期政権であり、まだ1年契約が残っていた原監督自らの指名を受けての監督就任。
秋のキャンプも精力的に動いているようです。
阿部監督の選手への声がけを聞くと、プラスの声がけをしているシーンが何度も映ります。
あるインタビューで阿部監督は、2軍監督時代も含めて、
今の若い選手に共通することとして、否定的な指示をすると萎縮しすぎて思い切った行動が起こせない傾向があるとのこと。

「真ん中には投げるな。コースを突いていけ。」
「状況判断して走塁しろ。」
という伝え方だと、真ん中に投げてはいけない。コースを狙わないといけない。
思い切って走塁してアウトになると判断が悪いと叱責される。
そうやってチャレンジをしなくなるそうです。
そこで阿部監督は、
「困った時は思い切って真ん中に投げろ。」
「暴走OK。」
という伝え方をしているようです。
ミスをするなよ、
というアプローチではなく、
ミスは構わないから思い切ってやれ、
というアプローチの方が、特に若手選手の行動の質が変わるとのこと。

実際のビジネスの世界でも、怒られることを極度に恐れる若い世代が多くなったと感じます。
もちろん怒られないに越したことはないですが、その分思い切ったチャレンジはせず、無難に指示通りの行動をするケースが多いです。
それは上司からの伝え方、アプローチの仕方にも課題があるかもしれません。
若いうちの苦労は買ってでもしろ、という言葉がありますが、上司は部下を大きく包み込み、失敗を恐れさせない思い切ったチャレンジができる環境を整えていくべきでしょう。
声の掛け方一つで若手の行動は変わります。
意識的にプラスの声掛けをしていけると良いですね。