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岩田 徹

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第131回 判断基準

2023/06/16

日本代表監督としての苦悩と葛藤。

WBCで優勝を飾った日本代表の栗山監督も
大会期間中は様々な苦悩と葛藤があったようです。
大会前に野手の主軸として考えていた鈴木誠也選手の離脱。
大会期間中の村上選手の不調。
刻一刻と変わる状況の中で、様々な判断、決断を下すのが監督です。
大会期間中を振り返って最も苦悩したこと。
栗山監督自身が、もう2度と体験したくないと言ったこと。
それは大会期間中の怪我人の発生でした。

WBCではラウンドごとの怪我人の入れ替えが可能なルールでした。
そして第1ラウンドで2名の主力選手に怪我が発生します。
一人は守備の要で不動の遊撃手の源田選手。
走塁の際に右手小指を骨折していました。
もう一人は東京五輪でも大車輪の活躍。抑えの切り札、栗林投手。
大会期間中に腰痛を訴えて、第1ラウンドでも投げることができませんでした。
無理をさせればプレーできなくもない2名をそのままベンチに入れておくのか。
それとも2名のキーとなる選手を外して新たな選手を呼ぶのか。
その判断に迫られました。

代表監督としては主力の離脱は大きな戦力ダウンになり、
勝利、優勝への道筋が狂うことになります。
できれば外したくない、という想いになるでしょう。
ましてや史上最強と呼び声の高かったチームです。
そのチームを率い敗北した時の世間のバッシングを想像すると、
当初の想定通りのメンバーで戦い抜きたい気持ちはあったと思います。

結果、栗山監督は源田選手を残し、栗林選手を外しました。
その判断基準は代表監督を受けた時に決めていたようで、
チームの勝利ではなく、選手個々の選手生命、だったとのこと。
源田選手の骨折は多少の無理はあるとは言え、
骨折部分が元に戻れば選手生命には影響を及ぼさない。
一方で栗林投手の腰痛は、無理して投げれば肩や肘に負荷がかかり、
選手生命を脅かす事態になりかねない、と判断したようです。
選手自身はやりたい、残りたい、チームの勝利のために頑張りたい。
そういう強い想いを持っていたようですが、苦渋の決断で代替選手を読んだようです。

企業経営や組織運営においても、大小様々な判断、決断の繰り返しだと思います。
経営者や管理職が判断、決断に迷い、不明瞭な指示を与えた時。
組織は大きく揺さぶられ、その積み重ねが崩壊へとつながります。
自分の中に明確な判断基準を設けて素早く判断、決断していくことは非常に重要です。
判断基準を設けること、そして、経営者と管理職で判断基準が擦りあっていること。
これもまた、強い組織を作る上で非常に重要な要素ですね。