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益田 和久

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第109回 社会の変化と法改正

2023/04/06

早いもので4月。
新年度になりました。
4月は新入社員教育関連の研修や打ち合わせが続く超繁忙の時期で、毎年あっという間に4月が終わり、ゴールデンウィークを迎えている印象があります。

3月半ばからマスク着用が個人の判断になり、5月には感染症分類も2類相当から5類に変更になることもあり、人との接し方、関わり方も少しずつ変化が見られます。
事実、新入社員教育もオンラインから対面に変更する項目も増えてきました。
ここ3年間は開催されなかった「歓迎会」も、単位を小さくして、復活の傾向があります。
やはり法律やルールが変わると、人の動きも気持ちの持ち方も変わりますね。
その逆も然りで、世の中の動きや人々のメンタリティが変わると、法律も変わるのだと思います。

この4月から、ビジネスシーンに影響を与える労働基準法の改正が2つあります。
一つは月60時間を超える時間外労働について割増賃金率が引き上げになります。
2010年の法改正では、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が、25%から50%へと改定されました。
ただ中小事業者に大きな影響を与えかねないとして、引き上げは大企業のみに適用され、中小企業は25%のままの猶予措置が設定されました。
その猶予期間も、2018年の労働基準法改正で廃止されることになり、この4月からは中小企業も50%に統一されることになりました。
確かに2018年頃から、働き方改革関連法の影響もあり、中小企業からの仕事の効率化、合理化に関する相談が多くなったのも確かです。

先述した通り、コロナ対応も新しい局面に入り、人の動きも少しずつ活発になってくると思います。
そうやって忙しくなってきたときに、時間外の問題について、中小企業が正面から向き合うこととなるので、早めの提案が必要ではないかと感じています。

もう一つは給与のデジタル払いも解禁されることです。
給与をスマートフォンの決済アプリや電子マネーで振り込むことができるようになります。
一部を従来通りに銀行等の金融機関、一部をデジタル支払と分けることも可能のようです。
確かに最近では、日常生活において現金を使うことは少なくなり、電子マネーでの決済がほとんどではないでしょうか。
とはいえ、その電子マネーのチャージやカード決済のお金は金融機関に預けておかないといけないので、併用はしないといけないのでしょうが、チャージの手間が省けるだけでも快適なのかもしれません。
電子マネーのいいところは、いつ、どこで使ったかがわかること。
今は、電子マネーと連携出来る家計簿アプリもたくさんあるので、お金の管理という点では、電子マネーのほうが合理的かもしれません。

さらに給与のデジタル支払解禁の背景は、外国人労働者の増加もあるのではないかなと思います。
外国人の方が口座開設をするのは、想定以上にハードルが高いと聞いたこともあります。
労働力不足のなか、今や外国人の採用は競争が激しくなっていて、外国人が企業を選ぶ時代に入ってきています。
少しでもスムーズに、且つ優秀な外国人を獲得していくには、企業側もこういった面をアピールしていかないといけないのかもしれません。

法律改正にはいろんな背景がありますね。
労働基準法だけでなく、他の方面にも視野を広げてみて、その法改正によって何がどう変わるのか、今後どんな社会的ニーズが出てくるのか、ワンストップして考察することも必要だなと思う新年度のスタートでした。