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深山 敏郎

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第71回 経営者のレジリエンス(21)経営者のセルフ・マネジメント(タイム・マネジメントIII)

2022/10/25

前回は、経営者のレジリエンス(20)経営者のセルフ・マネジメント(タイム・マネジメントII)でした。
主に優先順位のつけ方と4つの象限についてご説明しました。

今回は、「経営者のセルフ・マネジメント(タイム・マネジメントIII)」というテーマで、タイム・マネジメントの主要なタイプをご紹介します。

主なタイム・マネジメントのタイプ

人間は誰でも「タイム・マネジメント」における得意なタイプを持っています。
ここでは、主要なタイム・マネジメントのタイプの特徴と落とし穴をご紹介しましょう。
根拠となっているのは、かつて筆者がCOBS ONLINE(毎日コミュニケーションズ)の協力を得て20代~30代の会社員1,000名を分析したデータから導き出した結果です。

有効回答数 男性:428件、女性572件、合計1,000件(ウェブログイン式)

あなたの時間管理のタイプは?

Q. あなたの時間管理は次のどのタイプに近いですか?

1位:マルチタスクで仕事を並行しながらバランスを取るタイプ(357人 男性141人、女性216人)
2位:周到に計画を立て、きっちりと進めるタイプ(187人 男性88人、女性99人)
3位:優柔不断タイプ(144人 男性64人、女性80人)
4位:柔軟に流れの中で判断するタイプ(131人 男性42人、女性89人)
5位:1点集中、これだけタイプ(100人 男性57人、女性43人)
6位:いつもバタバタ超忙しいタイプ(77人 男性33人、女性44人)
・その他(自由記入) 
「いろいろな仕事に同時に手をつけながら、よりやりやすいものからやっていくタイプ」、「決まっていない」、「とりあえず目先の仕事はちゃんとやりますタイプ」、「どれにも当てはまらない」

といった結果になりました。
経営者がこれらと同一のタイプとは言い切れませんが、ご自分を理解するきっかけになれば幸いです。

トップ3の分析

この中のトップ3のタイプについて分析してみます。具体的には以下です。

1位:マルチタスクで仕事を並行しながらバランスを取るタイプ
2位:周到に計画を立て、きっちりと進めるタイプ
3位:優柔不断タイプ

1位:マルチタスクで仕事を並行しながらバランスを取るタイプ
このタイプが最も多いのは、現代のビジネス社会がマルチタスクを個人に要求するからだと言えます。
例えば研究開発の人は研究にだけ没頭できるかといえば、予定通りに開発を終えるというタイム・マネジメントや経費のマネジメント、そして人間関係の調整などを同時に要求されます。

2位:周到に計画を立て、きっちりと進めるタイプ
職種にもよりますが、事前に何を、いつまでにするかなどを準備してから、予定に沿って確実に実施しようとするタイプです。
日本人の特徴である勤勉さや分析的な進め方を反映していると言えるでしょう。

3位:優柔不断タイプ
このタイプも意外と多いのが現実です。
VUCA(ヴーカ)の時代と言われるように、経営環境の変動幅が大きく、不確実で、複雑にものごとが絡まり、曖昧な時代には、意思決定に慎重にならざるを得ず、結果として意思決定が遅れる、あるいは意思決定不能な状態に陥るということはありませんでしょうか。

例えば、円安(筆者がこの記事原稿執筆時点では、1ドルは148円前後で売買されています。)
まだ1ドルが130円前後であった時に多くの経済評論家が1ドル150円時代はそう遠くないということを言っていましたが、その時点でドル買いの意思決定をしていた人と、私のように様子を見続けて機会を失った人とが居たようです。
優柔不断タイプが経営者にも意外に多いのではないでしょうか。
本業重視は良いのですが、投資リスクを取れないという反面もあるのです。

次回は「経営者のセルフ・マネジメント タイム・マネジメントIV」として、「タイム・マネジメントのそれぞれのタイプの特徴と落とし穴」を考えてみます。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

toshiro@miyamacg.com (筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
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