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益田 和久

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第81回 AIを活かすためのスキルアップ

2022/09/22

先日の日経に、マジックモーメントという会社が、リモート商談の音声をリアルタイムに記録して、大事な情報の聞き忘れの防止や成功ノウハウを共有するサービスがリリースされるという記事がありました。
商談成約の可能性を高める項目を一覧にして、それをAIがチェックしてくれるというものです。

営業商談でのよくある失敗の一つが「聞き忘れ」。
商談自体はいい雰囲気だったのに、詳細の詰めが甘くて成約に至らないというような事象を防ぐ役割を果たすようです。
具体的には、リモート商談が進む過程で、PC画面に「予算」の項目にチェックがついていないことが表示されるというようなイメージです。
また商談中の会話を自動で文字化する機能もあるようで、複数人の商談にも対応できるようです。
何を話したのかも一目で確認できるので、商談内容を適宜整理しながら、スムーズに話しも進められるようです。

それ以外にも、ハイパフォーマーの営業担当者のノウハウを可視化して、次にとるべき行動や共有できる機能もあるようです。
営業担当者は職種柄一人での活動が多く個人商店化しがちです。
会社としての販売手法や商談の進め方をAIで管理支援することで、営業活動が一気に変わってきそうな気がします。
運用期間があるので本格導入は来年のようですが、興味津々ではあります。

リモートワークが定着してきたことで、営業商談自体もリモートが増えてきました。
対面商談にこだわる企業もありますが、そういった企業でも「次回の打ち合わせ内容でしたらリモートでいいですかね」と言われることもあります。
リモート商談のいいところは、移動しなくてもいいとか、会議室が要らないとかいろいろありますが、一番いいところは「手元にカンペ的な資料を置きながら商談ができる」ところではないかと個人的には思っています。
営業研修に参加される方々からも『プレゼンのときに読み原稿を用意しておけるのでスムーズに説明することができる』とか『同席している上司からこっそりと次の指示をもらえる』といった声をよく聞きます。

そういった背景もあっての、AIが商談の管理支援をするというサービスにもつながってくるのですが、ふと思ったのは「システムを導入しなくても自分たちである程度のことはできるのではないか」ということです。
システムの必要性が低いと言っているのではなく、ちょっとした手間をかければ近しいことはできるのではないかということです。

私は営業研修でいつも伝えているのは「ヒアリングシートの準備」です。
お客様の状況やニーズを正確且つ幅広く聞いておくほど的確な提案ができますし、聞き忘れがあると商談にもロスが出るからです。
実際に導入作成した会社からは、営業担当者だけでなく上司の方からも「商談内容が可視化できる」とか「顧客情報が整理しやすい」と言われます。
シートを作成するだけでなく、なぜこの項目を聞き出す必要があるのか。どういった聞き方をするのか、聞き出すときに見せたほうがいい資料があるかといったことを理解し、ロールプレイなどで練習するからこそ、営業商談の質はあがるはずです。

全ての会社がAIシステムを導入できるわけではありませんし、それ以前に内製作業でできることはかなりあるような気がします。
その上で、ヒューマンエラーを想定した上で、AIの支援を受けるというのが合理的な気がするのです。

様々なことがAIに任せるようになってきましたが、あくまで人間ができることの補足や安定を図るものだと思います。
一足飛びでAIに頼るのではなく、まず自分たちでやれることやスキルアップができることに取り組んでみることが、大事ではないかと再確認した今日この頃です。