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岩田 徹

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第65回 精神的優位性

2022/03/11

2015年に開催されたラグビーワールドカップの初戦、日本VS南アフリカ。
当時日本代表のワールドカップでの戦績は1勝21敗2分。
対する南アフリカは2度の優勝を誇り、世界ランキング3位。
圧倒的な体格差で前へ前へと押し進めるスタイルの南アフリカ。
私も含めほとんどの人が南アフリカの勝利を予想していたことでしょう。
しかし選手、監督含めた日本チームだけは違っていました。
試合2日前の記者会見でヘッドコーチは、
「最初に今日の日本はいつもと違う、と考えさせれば、勝つポジションに入れる。」
「多くのサプライズを見せられると思います。」
と答えました。

そして試合当日。
日本チームは言葉通り、いつもとの違いを見せつけました。
体格差を利用して圧力をかけられやすいスクラム。
この試合最初のスクラムで日本は時間をかけずに素早くバックスへの攻撃へつなげ、
バックスの選手が相手選手に直線的にぶつかり、相手を吹き飛ばしました。
さらに相手の防御ラインを突破し、どんどん攻め上がりました。
それ以外にも攻撃で工夫を見せ、相手を休ませない仕掛けをしました。

一進一退の攻防が続き、29-29の同点で迎えた残り10分。
相手の猛攻を耐え続けていましたが、ゴール前で反則を犯します。
終了までの時間、体格差を考えるとトライを狙いにくると思われましたが、
この反則に南アフリカが選択したのはペナルティゴールでの3点。
ゴールを決めて29-32となりました。
残り時間と相手チームとの関係性を考えるとダメ押しと考えがちですが、
キャプテンのリーチマイケル選手、キッカーの五郎丸選手は、
南アフリカが「逃げた」と思ったそうで、
最後まで圧力をかけ続ければ「勝てる」とも思ったそうです。

そしてその通り終了間際に日本チームがゴールへ何度も向かい、
ゴール前で相手が反則を犯しペナルティを獲得。
誰もがキックで同点を狙うと思いましたが、選手が選択したのはスクラム。
「勝たなければ歴史は変わらない。」と、果敢にトライを狙います。
その背景には、世界一過酷な練習を積んできた自信とともに、
「逃げた」と感じるプレー選択と、ゴール前での相手の余裕のない表情から、
チーム全体が「いける」「勝てる」とさらに一致団結しゴールに向かいました。

そしてゴール左隅への劇的な逆転トライ。
日本が見事な番狂わせを世界に見せつけたのでした。

〜中小企業の採用・育成のヒント〜

どんな屈強な相手にも、対等に立ち向かえるだけのぬかりない準備。
想像を絶するような過酷な練習に裏付けされた確固たる自信。
体格で劣る相手に精神面で圧力をかけ続ける戦略と実行力。
見事なまでの戦いを見せた日本。

企業規模や知名度では採用上で劣勢にある中小企業であっても、
自社の特徴、強み、良さを理解し、それを活かした活動をすれば、
自社に合ったいい人材を獲得することは可能です。
中小企業には中小企業の戦い方があると私は身をもって体感しています。