HACHIDORI NO HANE(ハチドリのはね)HPトップ

鴨川 光

ホーム > 鴨川 光 > 記事一覧 > 第7回 学びを測る、成長を図る

第7回 学びを測る、成長を図る

2021/01/28

数値は野暮だが役に立つ

以前、研修の参加者から「どうして学習成果を数値化しなければならないのでしょうか?」という質問をいただいたことがあります。
これは教育に関わる多くの人が、一度は感じたことがある問いではないでしょうか。

テストの点数、通知表の評定、人事査定、子どもから大人まで身の周りにはさまざまな評価のための数値があります。
数値化することで成果がわかりやすくなり、他者や過去の成績と比較する時には役に立ちます。
また、教育に詳しくない子どもや保護者であっても、数値の高低によって学習状況を把握することができます。

しかし、それらの数値には学習のプロセスがすべて表されるわけではありません。
例えば、一生懸命勉強して60点だった子と、ヤマが当たって80点だった子がいたとします。
2人の点数が表しているのは「どれだけテストが解けたか」であって、努力や理解度はそこから推測するしかありません。

こうした理由から、近年は数値によらない評価も重視され始めましたが、わかりやすさという点では数値が便利なのも事実なのです。

フィードバックは数値の意味を変える

では、この数値のジレンマをどうしたらよいのでしょうか?僕は、数値化することと、数値を重視することは違うと考えています。

苦い思い出ですが、小学生時代に漢字テストで99点をとった際、先生から「惜しかったね。あと1点だったよ!」と言われたことがあります。

先生は激励のつもりだったのかもしれませんが、99%できていても、1%のできていない方に注目されるのかとショックでした。

たった1つの添える言葉で、数値の意味は大きく変わります。
できていない部分よりも、できている部分を。
数値に表れていることだけでなく、数値に表れない姿勢や努力を。
意識してそういうフィードバックを添えてあげることで、無機質だった数値が温かみを帯びてきます。

評価は、評価者が感想を言うためではなく、学習者自身が自分の現在地を確認し、次につなげるために行います。
学びをサポートして成長を促すために、数値によるわかりやすい評価と、想いを込めたフィードバックを併用していきたいですね。