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益田 和久

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第37回 制約条件

2021/11/18

緊急事態宣言解除になりまして、外出や出張が増えてきました。
打ち合わせ等は継続してオンラインで行っていますが、研修については、オンラインから対面形式(会場に集合する形式)への変更や、保留になっていた案件を対面形式にて実施する機会が増えてきました。
研修や会議等、人の交流があるものはその目的によって、オンラインと対面形式それぞれのメリットデメリットがあるのは、このコラムでも何度か書かせていただきました。
いずれの手段にしても、その目的の優先順位を考えた上で、その状況に応じて選択すればいいと思います。

そのような状況のなか、仲間内の講師の案件でオンラインから対面形式への切り替え要望があったそうですが、その内容がとても悩ましい内容でした。
要望のあったお客さま2社の研修が偶然にも2日連続になっていて、両社を対面形式に切り替えた場合には物理的な移動が難しいとのことなのです。
片方をオンラインにすれば、もう片方は対面形式で実施は可能ですが、要望があったのも同じ時期だったので、そこは公平に両方ともオンラインでお願いしたそうです。
お客さまは、対面研修でやってみたいことも種々あったようですが、講師がご要望を吸い上げて、オンラインでも対応できることを提案したり、研修以外での代替手段はないのか、お客さまと入念に話し合ったりしたようで、結局は気持ちよくオンラインで受講していただいたようです。

この話を聞いたときに改めて感じたことは、制約条件があることによっていろんな工夫やアイデアが生まれてくるということです。
例えば時間。
どうしても残業ができない日に、その日のうちに完了しないといけない仕事があるときなどは、その時間で収まるような工夫をしますよね。
人数(人工)も同様。急な欠席(欠員)が出て補充ができない場合は、その人数でやりくりしようとするはずです。
一見困難に思えることも、「どうすればできるか」の視点で考えていくと、思いもつかなかったようなアイデアがでてきたり、これまで気づかなかったようなムダがみえてきたりするものです。
コロナ禍以前もオンライン会議ツールは存在していました。
それでも今より利用されてはいなかったのは、制約条件がなかったことも理由の一つではないでしょうか。
コロナ禍において「リモートワーク」という、ある意味での制約条件が課せられた時点で、社会全体がオンラインでのコミュニケーションの最大効果を模索するようになったのだと思います。
打ち合わせや会議はオンライン形式が定着しました。
だからこそ、あえて対面形式で実施したいという「コミュニケーション活動」が出てくるのでしょうね。
その代表格が研修なのだと思います。

ここ最近、オンラインから対面形式に切り替わった(戻った)研修がありましたが、お客さまがご要望されるだけ意義はあった気がします。
休憩時間中の雑談や終了後に仲間内で食事に行くというのは、やはり対面形式でないとできないことです。
ただこれは毎回の研修に必要かというわけではありません。
また休憩時間の情報交換も終了後の食事も、オンライン越しでできないこともありません。
ただ、オンライン研修の合間の「雑談や懇親」をオンラインでやることには、今一つ馴染みがないような印象があります。
だからこそ、オンラインでできることについて、更に研鑽を深める必要はありますし、研修そのものをその目的からゼロベースで考えていくことも今後の検討材料だと思いました。

なぜできないと考える前に、どうすればできるのかを考える、制約条件があるからこそ、人間の知恵は働くのだなと感じる今日この頃です。