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岩田 徹

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第46回 終わりの始まり

2021/10/29

大迫傑(おおさこ すぐる)さん。
長野県の長距離界の名門、佐久長聖高校では駅伝日本一に。
早稲田大学では大学駅伝3冠を達成。
国際大会でも優勝を飾るなど学生長距離界のスーパースターとして君臨。
卒業後は1年間実業団に所属し駅伝で活躍。
その後プロランナーとしてストイックなまでに追求し、
3000メートル、5000メートルでの日本記録保持者となり、
マラソンでも前日本記録保持者となるなど、
日本長距離界のエースとして活躍され、
先般開催された東京五輪のマラソンを最後に現役を引退されました。

まだまだ大迫選手の走りを見たい、記録を更新して欲しい、
とファン目線で思っていましたので、個人的にはすごく残念でしたが、
トップレベルの状態で引退を決意されるその潔さもカッコいいと感じました。

「東京五輪に向けて全力を尽くす、言い訳を作れるような環境を捨てるのがカッコいい。」
「陸上というフィルターを通してこんなことをやっていったら楽しいのではないか、という新しい興味も出てきた。」
「追求し続けてしまったらキリがないし、どこかで1つの物語の終わりを作ることは大切。」
「終わりと言ったが、実は終わりではない。これをスタートにして、自分が頑張ってきたことの延長線上で新しくやりたいことがたくさん出てきた。」
そう答えた大迫選手。

今はご自身で団体を立ち上げ、
世界で戦える選手の育成、
陸上競技そのもののブランド価値、社会的意義の向上、
陸上を離れて社会に出ても大きく活躍していける人材の育成、
に取り組んでおられます。

これまでの枠組みから飛び出して自ら世界を切り拓いてきたからこそ見えたもの、
そして感じたこと、学んだことを後に続く方に伝えていく。
数年後、大迫選手が育てた選手が世界で活躍する姿を見たいと感じました。

〜中小企業の採用・育成のヒント〜

「追求し続けたらキリがない」と言えるほど、自分を追求できているでしょうか。
大迫選手のレベルではなくとも、自らの価値を高めるために努力し続けること。
力をつけて価値が高まるからこそ、できることが増え、協力者や賛同者も巻き込み、
やれることが広がっていくのだと思います。
そしてそれは「いつか手に入る」ものではなく、
終わりを決めるからこそ手にすることができるのではないでしょうか。
終わりではなく、そこが新たなスタートとなる。
その繰り返しが企業や人の成長には必要不可欠なのかもしれません。