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深山 敏郎

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第12回 ワークエンゲージメント、ジョブ・クラフティングとレジリエンスの関係

2021/09/07

前回はジョブ・クラフティングの組織的取り組みの事例と留意点をご説明しました。

今回は、ワークエンゲージメント、ジョブ・クラフティング、レジリエンスという言葉の関係を整理しておきたいと思います。

レジリエンスがすべての能力の基本

苦境に陥った時に限定されないレジリエンスの効用

レジリエンスという言葉は折れない心、つまりストレスへの反発力という意味です。
例えば近親者との突然の別れ、受験の失敗、失業、癌に代表される重大な病気の告知といった、さまざまな人生の試練への解決志向で取り組む能力という側面がイメージとして強いことでしょう。
しかし、レジリエンスの効用はこうした状況に陥らなくとも得られるのです。

レジリエンスを高めておくことで、プライベートでも仕事でも幸福感や充実感をコンスタントに維持することが出来るようになります。
仕事面を考えてみましょう。
レジリエンスの高さは職場では仕事を前向きにとらえ、精力的に実行するワークエンゲージメントの高さにつながり、また、そこで組織内外から多くの肯定的なフィードバックを得られれば、結果として自分の職業を天職と考えられるジョブ・クラフティングにつながります。

代表的な個人のレジリエンスの要素は以下のとおりです。

1.自己効力感
2.感情のコントロール
3.思い込みへの気づき
4.楽観
5.新しいことへのチャレンジ

自己効力感は、心理学者バンデューラなどが唱えた概念といわれています。
一般的な言葉でいえば、幸福感、自信、自己肯定感、他者に貢献できる喜びを感ずることといったことです。

感情のコントロールとは、自分の感情に気づき、必要に応じて表に出したり控えたりということです。
アンガー・マネジメント(怒りのコントロール能力)などが代表的な項目です。
あなたが経営幹部や管理職であれば、パワハラの防止などに役立ちます。

思い込みへの気づきとは、ちょっと難しい言葉でいえば思考の枠組みの柔軟性ということになります。
ものごとのやり方をいろいろな選択肢をもって検討するという態度に裏付けられます。
視野の広さという表現もできます。

楽観とは、自分が決めた目的や目標に到達するために、細かなネガティブ要因に縛られず、何とかなるさという、良い意味での開き直りです。

新しいことへのチャレンジとは、これまでの成功体験とは異なる方法論を試してみる勇気をもって実行することです。
特に環境変化が激しい時には、旧来の方法に固執することはマイナスに働く場合もあります。
会社経営であれば、自社の過去の成功体験に縛られて、新規事業を行わない、あるいは昔からこうやっているんだという方法が現場に悪影響を与える可能性が強い場合に、ぜひ新しいことへのチャレンジをしたいものです。

まずはレジリエンスの確立を、そしてワークエンゲージメントとジョブ・クラフティングへ

レジリエンスの高さは、ワークエンゲージメントにつながります。
レジリエンスが低いままワークエンゲージメントを目指した場合、最悪、活動水準だけが高く、仕事への認知が低い見せかけのワークエンゲージメント、つまり「ワーカホリズム」に陥る可能性が高くなります。

ワーカホリズムは仕事を沢山するのだけれど、心理的な安定性は得られず、絶えず不安にさいなまれるため、社会問題ともなりました。
米国などでは、「ラットレース(ねずみの競争)」と呼ばれ、回り車の中を必死で駆けち続けるねずみのように、いつまでも望ましい結果が得られないということに例えられて、人間性を失った仕事競争をして、経済的にも社会的にも結果が得られない状況を指します。
時には経済的には豊かになっても虚しさだけが残るといった人生を送るリスクもあるのです。

これらのことから、まず個人のレジリエンスに焦点を絞って高めることが望まれます。
レジリエンスを高めるプロセスを進めることによって多くの場合、職場ではワークエンゲージメントが高くなる傾向あります。
また、ワークエンゲージメントの高さは、ジョブ・クラフティングを成功させるためには必須の要素なのです。
そのために個人としてだけでなく、組織として取り組めることを探してみようではありませんか。
多少の失敗を恐れずに、良いと思うことを少しずつ試しながら始めることがコツです。

次回からは、シェイクスピアの登場人物のレジリエンスについて分析し、ビジネスにどう役立てるかを考えてみましょう。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

また、シェイクスピアに関するビジネス活用のご参考として、拙著:「できるリーダーはなぜ「リア王」にハマるのか」(青春出版)があります。
この書籍はシェイクスピア作品を通してビジネスの現場にどう活かしていくかを検討するために書かれました。

toshiro@miyamacg.com (筆者:深山 敏郎)
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