国内最大のQRコード決済「PayPay」を運営するPayPayが3月12日、米ナスダック市場に新規上場しました。
公開価格16ドルに対し初値は19ドル、終値は14%高で初日の取引を終えています。
IPOによる調達額は約8.8億ドル(約1400億円)で、日本企業による米国証券取引所での上場として、この10年で最大規模となりました。
親会社であるソフトバンクグループにとっても象徴的な一手と言えるでしょう。
「日本企業なのに、なぜ米国なのか」。多くの人が抱く疑問です。
しかし現在、世界の株式市場の時価総額の約半分を米国市場が占めています。
さらに、世界の株式時価総額ランキングの上位10社を見ると、その多くが米国企業です。
資本市場の中心が米国にあることは、こうした数字からも明らかでしょう。
企業価値は理屈の上ではどこに上場しても同じはずですが、実際には“どこで評価されるか”によって資金の集まり方は大きく変わります。
特にテクノロジーやプラットフォーム企業の場合、その傾向はより顕著です。
もちろん、日本企業の米国上場は今回が初めてではありません。
例えばソニーグループやNTTドコモなどは、かつて米国市場でも株式を取引していました。
ただし多くは東京市場との重複上場であり、日本の資本市場を主軸に置く構造でした。
事業のグローバル化が進んでも、資本市場は国内という構図が長く続いてきたのです。
その意味で、PayPayの選択は興味深いものです。
決済アプリは単なる支払い手段ではなく、金融、データ、広告を組み合わせた巨大なプラットフォームへと進化する可能性を持っています。
こうしたビジネスは、ユーザー基盤やネットワーク効果といった“将来価値”を重視する米国の投資家にとって理解しやすいモデルでもあります。
日本企業はこれまで、事業のグローバル化には積極的でした。
しかし資本市場のグローバル化は、まだ本格的には進んでいないのが実情です。
企業の本社は日本に置きながら、企業価値を測る舞台は世界へ広げていく。
PayPayのナスダック上場は、その転換点を象徴する出来事なのかもしれません。