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益田 和久

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第178回 デジタルツールとマンパワーの関係性

2024/08/01

以前のコラムで、某ファミリーレストランに行ったときに、全てがデジタルというかシステムで完結したことを書きました。
タッチパネルでオーダーして、ロボットが配膳してきて、支払はテーブルで電子マネー決済。
従業員の方と接したのは、入店時にホールを忙しそうに駆け回りながら「おひとり様ですか?空いているところにどうぞ」と言われたときだけです。
オーダーしてからそれほど待たずに料理もきたし、頼んだメニュー自体は普通に美味しいし、支払もレジまで出向くことなければ並ぶこともない。
お店を出るときの「ありがとうございました」がなかったとしても、何の違和感もなく時は過ぎていく。
むしろ先日は別のファミリーレストランで、入店時、退店時に爽やかな感じであいさつをされて好印象を持ちました。
デジタルツールが社会に定着することで、ものの見方や捉え方は着実に変わってきたような気がします。

以前、営業担当者の日報システムの改善依頼がありました。
元々は外出先からスマホ入力ができるようにすることが始まっているのですが、全体的な項目の見直しもすることになりました。
その上で大きな改善点が、定性的な記載をなるべく少なくし、定量的な回答になるよう「選択式」に変更しました。
定性的な記載は抽象的になりがちですし、記載する人によってその精度に随分とバラツキが出てしまいます。
なるべく正確な情報を得るためにも、またその得られた情報を合理的に活用するためにも、定量的な入力への変更は不可欠でした。
以前は、日報で把握しづらい情報を上司がヒアリングしていましたが、その手間もなくなりました。
むしろ得られた情報を分析して、どのように活用、フィードバックするかのほうに労力をシフトしています。

DXの台頭で、多くの業種で業務の見直しをやっています。
基本的な考え方としては、人手不足や労働時間の削減でやりきれない業務を、デジタルツールで「標準化、自動化、単純化、同期化」等の対応で代用する。
つまりはマンパワーの不足をデジタルツールで補うとう考えです。
ただこの考えも徐々に変わってくるような気がしています。
というのも、先述したファミリーレストランでの接客の一連の流れも、日報による社員の行動管理や指導も、デジタルベースの仕組みが仕事の中心になっています。
そのデジタルオペレーションを人間がどのようにマネジメントして、よりよい仕事に仕上げていくという流れに、替わってくるのではないかと感じています。

世の中全般的に業務が標準化されていき、味気ない仕事が増えていると感じている人は多いと思います。
そこに支払う対価によって、捉え方も変わってくるのは、先述したファミリーレストランがまさにその例です。
むしろ標準化された仕事が増えるほど、そこに対して人がどう関わるか、その関わり方で差別化が図れるはずです。
デジタルツールとマンパワーの関係性に正解はありませんが、仕事の主役をデジタルツールに置くことによって、アフターコロナにおける「新しい働き方、人との関わり方」が見えてくるのではないかと感じた今日この頃です。