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第2回 “違う”ということ(後編)

2020/12/24

“違い”と“間違い”を活かすファシリテーション

 参加者の“違い”と“間違い”を活かした場づくりに大事なことは何でしょうか?一つは、多様な言語活動を取り入れることです。個人、ペア、グループ、クラスなど、サイズ感を変えつつ、話し合い、ブレインストーミング、レポート執筆、プレゼンテーションなどの言語活動を取り入れていきます。

 アクティブラーニングの流行と共にグループワーク至上主義のような空気がありますが、個人で学習した方がはかどるというタイプの方もいらっしゃいます。グループワークや話し合いは「目的」ではなく、一人では気づけない視点を得るための一つの「手段」にすぎません。参加者の特性を見ながらやり方を選んでいくのがおススメです。

ピンチはチャンス

 話し合いをしていると、多数派とは「違う」少数派の意見が全体に受け入れてもらえない場面が多々あります。クラスの中で自分だけ違う考えをもっている、もしくは先生が教える世の中の“常識”に違和感を感じる…そういった意見は口に出すのがはばかられるーそんな経験をしたことはないでしょうか。

 僕は、少数派や取り留めもないような意見もとりあえず拾ってみることにしています。子どもたちからも「こんな意見でもいいの!?」「否定されるかと思ったのに…」と驚かれることもしばしば。でもそうやって拾い続けていると、発言するハードルがどんどん下がっていって、いろいろなアイディアが出てくるようになるのです。

 ある人にとってのガラクタが、別の人にとっては宝物ということがあるように、たった一人の“違う”意見によって、全員の考え方がガラッと変わる場面によく出会います。違いや間違いを扱うというのは、参加者にとっても実施者にとっても勇気のいることです。それでも、その中に想定していなかったような新しい探究の扉が開かれるのを待っているかもしれませんよ。