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益田 和久

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第111回 トレードオフ

2023/04/20

今年の新入社員研修は(一部を除き)対面で展開をしています。
スキル習得や情報入手よりは、社会人の心構えや考え方の理解や集団活動に慣れることを目的としているので、新入社員研修の場合は対面のほうがいいような気もしています。
またこの4月は、昇格者向けの研修にも登壇しています。
新しい立場(役職)で新年度をスタートされる方々は、現状変革や自己成長への思いが強く、意見交換や実習の相互フィードバックも積極的なこともあり、相乗効果が高まっているのがひしひしと伝わってきます。
今月登壇している昇格者研修は、オンラインでの開催ですが、受講者の環境(ITリテラシー含)も一定以上のレベルにあるので、対面研修と同じくらいのリアル感があります。
そういうこともあってか、受講者が研修最後の感想では口を揃えて「オンラインでこれだけ受講者間交流が盛り上がったから、対面だったらもっと盛り上がったのかもね」と言われます。
ただ、仕事や家庭の事情もあり、オンライン開催だからこそ参加出来たという方も多々いらっしゃいます。
対面研修とオンライン研修の使い分けは、お客さまの考え方によって違いますが、今後もそれぞれの特徴を活かした人材育成計画をご提案していきたいと思います。

今回オンライン研修を実施していて感じたのは、受講者のリテラシーや意識も上がってきているということです。
対面研修では、グループ実習時のアウトプットを、ホワイトボートや模造紙にまとめて発表するのが通常の流れです。
オンライン研修では、この模造紙やホワイトボートの替わりになるものが必要ですが、オンライン研修やリモート会議に慣れている方ですと、特にこちらが準備や説明をしなくても、自分たちでサクサクと進めます。
Zoom標準のホワイトボートだけでなく、内容によってはGoogleスライドやPowerPointを使いこなし、発表時の画面共有もスムーズです。

オンライン研修も3年目に入り、お客さま(受講者)も私たちも一定の進化をしたという手応えがあります。
受講者に一定のリテラシーがあることを前提とすると、研修中の情報提供や受講者間交流も、新たな進め方が考えられます。
お客さまの状況に合わせて、研修内容もアップデートしていく必要を感じました。

一方で、対面研修で時々感じるのが、模造紙やホワイトボートの成果物の「字」の見やすさについてです。
受講者の方でも、見やすい字を書く人、個性的な字を書く人(苦笑)と様々いらっしゃいます。
約20年間にわたり研修現場と向き合ってきた立場からすると、全体的に手書きの字が苦手になってきているのではないかという感覚があります。
私も職業柄、板書をすることが多いですが、お世辞にも上手とは言えないレベルなので、受講者の方が見やすいように、なるべく丁寧に大きく書くようにしています。
それでも、時々「昔に比べたら字が下手になったなぁ」と感じます。
オンライン環境やデジタル化が進み、手書きをする機会が少なくなりました。
そのことによって、字が下手になるだけでなく、漢字そのものが書けなく(思い出せなく)なっていることを痛切に感じます。

オンライン環境やデジタル化の進化により、仕事も日常生活も便利になったことは多々あります。
その反面、対面交流や手書きなどの「機会が少なくなった」ことで、本来当たり前に出来ていたことが、出来なくなっていることもあります。
このまま放置して、先々に痛い思いをしないように、それをカバーする取り組みを考えていかないといけないなぁと感じた繁忙期の4月でした。