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益田 和久

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第102回 情報の見極め

2023/02/16

以前の投稿で、「情報の収集、活用、分析」をテーマにした研修のオーダーが増えてきていることを書きましたが、研修に対するニーズも受講される会社や対象者によって様々です。
その中でもやはり多いのが「情報の見極め」です。
そのときの投稿でも書きましたが、情報にはプッシュ型(何もしなくても受動的な姿勢だけで自分に寄ってくる情報)とプル型(自分が能動的に、意識的に収集しないと入手できない情報)があります。
現在のインターネット社会において、私たちは24時間365日、膨大な量の「プッシュ情報」の中で生活しているといっても過言ではありません。
そしてこの「プッシュ情報」に度々振り回されることもあります。
そういった側面から情報を見極める方法や視点を知りたいという受講ニーズが高まっています。
私自身も、言葉や情報を生業としている部分もありますので、「見極める力」は常にアップデート&スキルアップに務めています。

コロナ禍になり、在宅ワークスタイルの定着や外出を控える人も増えたこともあり、必然的にインターネット経由でのコミュニケーションや情報収集の頻度が増えました。
情報収集については、在宅の割合が増えると、必然的にインターネットを検索する時間も増えると思います。
プル型の情報収集をするにしても、プッシュ型の環境が基本設定であることも否めません、臨まなくとも、検索の段階で疑わしい情報やフェイクニュースに遭遇してしまうことは誰にでもあります。
2016年の熊本地震の際、”動物園からライオンが脱走した”というフェイクニュースがSNSで拡散されたのは衝撃的でした。
つい最近では“トイレットペーパーが不足する”というデマもありました。
私もフェイクニュースに引っかかり、友人知人に拡散して、迷惑をかけたこともあります。

ITジャーナリストの高橋暁子さんの新聞のインタビュー記事に以下のような主旨の記載がありました。
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米マサチューセッツ工科大学の調査で「フェイクニュースは真実より早く拡散する」という結果が出ているそうだ。そしてリツイートされる割合が、正しいニュースより70%も多い。その一方、デマを取り消す報道はたいして広まらない。デマの方が派手でインパクトが強く、面白おかしく刺激的。多くの人が飛び付いてしまう。SNSが普及した影響は大きい。メディアでさえ、SNSで話題になったニュースを取り上げ、実はフェイクだったとだまされることがある。また写真や動画があると「本物だ」と思いがちだが、AIが進化した今、それだけで鵜呑みにはできない。現代は情報戦。インターネットやメディアを使い、あらゆる情報操作が行われる。SNSは意図的に操作すればフェイクニュースを発信する場になる。コロナ禍をはじめ、地震などの災害時や、人が不安を感じている時は、情報が錯綜しデマが増えるといわれている。重要性が高く、命に関わるけれど情報が不十分な時は、うわさやデマの量が増えるので、気を付ける必要がある。
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まさしくその通りだと思いました。

インターネットについては、アクセス数が増えることで利益を生み出すものが増えています。
見出しや前文で興味をひき、サイトやSNSに誘導していくパターンです。
ファクトチェック(事実確認)は、非営利団体の「ファクトチェック・イニシアティブ」を活用する方法もありますが、確認するのにも時間もかかりますので、基本的には自分の見極める目を養うことも必要です。

先述した高橋暁子さんは、見極め方として「だいふく」を推奨しています。
「だ」は誰が最初に発信したのか。
信頼性の高いメディアや発信者なのか。
「い」はいつ発信されたのか、最新情報なのか、「ふく」は複数で、信頼できる複数の発信者が、同じことを言っているかどうかということです。

SNSから情報収集している方の傾向として、「エコーチェンバー」(自分と同じような意見を見聞きし続けることによって、自分の意見が増幅・強化されること)や「フィルターバブル」(インターネット上で自分の興味のある情報だけしか見えなくなること)に陥りることがよくあります。
大切なことは客観的な視点、論理的な思考で物事を判断することです。
自分とは異なる意見も耳を傾けることは勿論、情報を鵜呑みにせず「なぜ」の視点を持ち、検証し続けることが大事かと思います。
あとは、情報検索を重ねていく中で、公平性、客観性、論理性の高いサイトや識者をいくつか設定し、それをベースに検証作業を行うことも一つかと思います。

いずれにしても、最終的には自身の判断力になります。
日頃から、インターネットだけでなく、周囲との対話、書物や公共のデータの確認、自分の目での市場観察もとりいれて、多くの判断材料をもつことが大事だと思う今日この頃です。