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益田 和久

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第153回 スマホ

2024/02/08

昨年末から今年はじめにかけて、3つの企業の若手社員フォローアップ研修に登壇しました。
年次は1年目、2年目、3年目と各社違いましたが、同期社員の集合研修は活気があります。
同期ということもあり話しやすい関係も醸成されているので意見交換も盛り上がります。
また遠慮もする必要はないので、実習では忌憚のない相互フィードバックもできて、一定の相乗効果も得られていると思います。
コロナ禍も収束したことで合宿形式の研修も再開され、懇親会やその後の少人数部屋飲みも出来るようになりました。
少し前のコロナ禍のときと比較すると、コミュニケーションの総量も確実に増えてきました。
「ソーシャルディスタンス」「三密回避」「黙食」といった流行語のように使っていたキーワードも、(私的には)既に私語になったと感じます。
景気もマインドも「コロナ前」に戻った今こそ、これからの時代における職場コミュニケーションの在り方を模索していく必要性を、職業柄強く感じています。

その「これからの時代の職場コミュニケーション」を考えるにあたり、先述した3つの企業の若手社員研修を通して感じたことがありました。
休憩時間や食事時、懇親会時の過ごし方です。同期が集う研修であれば、休み時間(自由時間)には、それとなく数人が集まって“だべっている”のが自然な光景だと私は思っていました。
実際には「3社3様」だったこともあり、いろいろ考えるいい機会になりました。
A社は、休み時間に自然といくつかのグループに分かれて、みんなが楽しそうに話をしていました。
誰一人スマホを見ながら過ごしている人はいなかったように記憶します。
B社は半分の人たちがいくつかのグループに分かれて話をしていました。
半分くらいの人はスマホを見ながら過ごしています。
C社は、ほとんどの人がスマホを見ながら休憩時間を過ごしています。
時々数名が何か話をしている場面もありましたが、休憩時間もすごく大人しかったのが印象的です。
事務局様の話ですと、喫煙者数名が喫煙所で楽しそうに話をしていたようです。
喫煙者自体も少なかったので、その数名だけかもしれません。
B社やC社もさすがに懇親会のときはスマホを見ていて他の人と話さない人はいないだろうと思っていましたが、そんなこともありませんでした。
話が一段落したときや自分が話にはいれないとき、またトイレ等で離席して中座したときをきっかけに、「スマホとの対話」に移ってしまう人が何人もいました。
割合的には休憩時間と同じでした。
さすがに懇親会なので、何らかのタイミングで「人との対話」に戻りますが、これほどまでにスマホが片時も離せない状況を見ると、もはや依存症のレベルなのかとも思ってしまいます。
同期と話すよりスマホのほうが楽しいのかな、せっかく同期と集まれていろんな情報交換ができるのにスマホの情報が知りたいのかなと、何だか切ない気持ちになりました。

今はスマホでコミュニケーションを図るのが多いですが、同期との膝詰めの対話でしか得られない情報もあるはずです。
SNSに投稿すれば誰かがいいね!を押してくれますが、同期はとことん納得するまで話を聞いてくれるはずです。
スマホの利用を否定する気ありませんが、時にはスマホを手放し、スマホ以外から得られることの価値を啓蒙しないといけないと思った今日この頃です。