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岩田 徹

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第155回 ステップアップ

2023/12/01

カタールワールドカップの熱狂から1年が過ぎました。
ドイツ、スペインという強豪を撃破し決勝トーナメント進出。
クロアチアとの激闘、PK戦での敗北で悔し涙を流してからもう1年か、
と、時間の流れの早さを実感します。
ですが、すでに次のワールドカップ出場をかけたアジア予選が始まっています。

前チーム、そして今の代表チームでも主力として君臨する、
鎌田大地選手、遠藤航選手、冨安健洋選手。
この3人は現在イタリア、イングランドのトップクラブで活躍する選手ですが、
数年前にはベルギーの同じチームでプレーしていました。
それがシントトロイデンというチームです。
シントトロイデンは日本企業であるDMM.comがオーナー。
日本選手のヨーロッパ進出の足掛かりとなっているチームです。
CEOの立石さんが語るコンセプトは、「日本サッカーの欧州拠点化」。
実際に前述の3選手もシントトロイデンでの活躍を経て、
ステップアップを果たしました。
現在も9名の日本人選手が在籍し、日々レベルの高い環境で揉まれながら、
次なるステップアップを目指しています。

ベルギーリーグの利点は、外国人選手枠がないこと。
そのため、多くの日本人選手が海外挑戦しやすい環境があります。
移籍しても枠の関係で出場機会が減る心配はありません。
また初めての海外移籍で慣れない環境に飛び込むよりも、日本企業がオーナーで、
多くの日本人選手が在籍しているチームであり、海外環境に適応しやすいこと。
立地的に欧州の中央に位置し、次の金の卵を狙う欧州のスカウトの目が届きやすいこと。
などが挙げられます。
こうした環境を利用して選手が鍛えられステップアップし、
さらにレベルの高い環境で成長を続けることで、日本代表の強化にもつながっている、
まさに好事例だと思います。

シントトロイデンが欧州のトップを争えるクラブにはなっていないかもしれませんが、
日本の有望な選手を欧州でステップアップさせることで、
日本人選手の夢の実現、日本代表の強化、そしてクラブ経営を成り立たせるという
明確な立ち位置は、非常に潔く、存在価値の高いクラブだと思います。

採用し、長く活躍、定着してくれることは企業として望むことですが、
シントトロイデンのように世に通用する人材のステップアップ企業としての役割があれば、
優秀な人材の採用につながるのではないかと思うのです。
卒業時の移籍金の獲得ができれば最高ですが。